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産後数日間の授乳

確立(増加)し始めます 

産後2~4日頃に、乳房が出す母乳の量は多くなり、固く張っていると感じるようになります。これを、「乳汁来潮」と言います。⁶⁰ スクロールしてもっと読む

早くから乳房が大きくなったと思っている方は、さらにサイズが大きくなりびっくりするでしょう。(そして、それまで特に大きな胸ではなかったとしたら、新たにできた谷間にかなり驚くかもしれません。)


母乳もまた日々変化し、徐々に成乳へ発達していきます。産後5~14日辺りの母乳は、移行乳と言います。⁶¹ 移行乳には、短期的には感染症のリスクを低減し、将来的には疾患のリスクを低減する抗体が豊富に含まれています。⁶² 栄養面では、赤ちゃんが急速に成長するのに必要な豊富な脂肪、ラクトースおよび水溶性ビタミンがバランスよく含まれています。


最も大切なことのひとつは、この段階の母乳は赤ちゃんの消化器系を保護しているということです。短期的には、母乳育児は特に赤ちゃんが早産児(早産児については後ほど詳しく説明します)の場合、危険な腸の感染症と障害から赤ちゃんを守ります。⁶³ 長期的には、健康な消化器系の構築を助けます。事実、赤ちゃんの腸は食べたものに直接反応して成熟します。⁶⁴


母乳にはオリゴ糖と呼ばれる複合糖類も大量に含まれています。これらはプレバイオティクスであり、言い換えれば「良い」細菌を赤ちゃんの腸に与えて、腸が防御的なフローラ(腸内に生息している、消化と免疫に必要な微生物のコミュニティ)を発達させるのを助けます。さらに、一部のオリゴ糖は、肺炎を引き起こす可能性があるものなど有害な細菌が赤ちゃんの消化管にくっつくのを防ぐことを助けます。⁶⁵


ヒトの母乳にはこうした素晴らしいオリゴ糖が200種類以上含まれているのに対し、⁶⁶ 牛乳にはわずか40種類しか含まれていません。⁶⁷


全体として、赤ちゃんの腸管にある有益な細菌の実に30パーセントが、直接母乳から入ってきたものであることが研究で分かっています。そして、これが全部ではありません。さらに10パーセントの細菌は乳房の表面から来ています。そのため、直接母乳をあげるという行為自体が、お母さまが赤ちゃんを守ることに役立っています。⁶⁸

いま、赤ちゃんの胃はクルミほどの大きさしかありません。

知っていましたか?

母乳育児の赤ちゃんのうんちは少ないです

赤ちゃんは通常1日に数回うんちをします。しかし、完全母乳の赤ちゃんは2~3か月目になるまでは、うんちの間隔が1週間、さらには2週間あく場合があります。⁶⁹ なぜでしょうか? 母乳は赤ちゃんにとって完璧な食べ物であり、赤ちゃんの身体が必要とするものを無駄なくちょうど与えるため、排出するものがほとんどありません。 


また、赤ちゃんはそんなに頻繁に出す必要はありませんが、母乳育児の赤ちゃんのうんちは柔らかいため、便秘になったり、出すために苦しんだりすることはほとんどありません。素晴らしい母乳にはまだまだメリットがあります。⁷⁰

母乳育児は赤ちゃんの乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを50パーセント低減します。⁷¹